3月も末になってすっかり春らしくなり、田んぼの畦に野の花が咲き、越冬していたテントウムシたちが家の中から外に出はじめて、命のめぐりを感じるうれしい季節になってきましたが、長野県の八ヶ岳山麓地方ではまだ水は手を切るように冷たく、山々は雪を冠って白く輝いています。
そんな美しい八ヶ岳の山脈を間近に眺めることができる、霧ヶ峰の高原。
冬のツアー『霧ヶ峰 スノーピクニック』は3月末で今期終了となりました。今回は、2022年の雪をふりかえってみようと思います。
昨年は雪解けが早く、草原が露出してしまい、2月の終わり頃には登山道にしか雪が残っていませんでしたが、今年は例年にない豊富な積雪と、厳しい寒さが続いたため、霧ヶ峰の大雪原をスノーシューで歩くのがとても楽しい冬となりました。
<霧ヶ峰・車山 2022年3月>
草原が広がる霧ヶ峰は、雪で覆われるとこんなにアルペンムードになります。どこかよその国に来たみたいです。茅野や諏訪の市街地から30~40分で簡単に着く場所とは思えません。
起伏がゆるやかな霧ヶ峰は危険がなく、また、体力もそんなに使わずに済むので、スノーシューの初体験にはとっても適した場所です。小学生からご年配の方までおすすめです。
<霧ヶ峰・車山 2022年3月>
今年の冬はマイナス10度の寒い日が多かったので、雪はよく締まっていて、とても歩きやすい状態でした。
<霧ヶ峰・車山 2022年3月>八ヶ岳連峰と富士山、南アルプスの眺め
開放的で眺めがよい分、風の通り道になりやすく、このようなシュカブラ(風雪紋)を至るところで見ることができます。
<霧ヶ峰・車山 2022年3月>車山の山頂からの眺め
<霧ヶ峰・蝶々深山と車山湿原 2022年1月>
車山の山頂から見下ろしていた白い雪原に下り立ってみると、こんなに美しい銀世界が。
条件がよければ野生動物の足跡がたくさん残っているので、痕跡さがしも楽しめますよ。
<霧ヶ峰・八島湿原 2022年3月>ノウサギの足あと
明るい陽の下では会うことのできない生きものたちが、時を超えて同じ場所を歩いている…
足あとを見ながらそんな姿を思い描くのも、スノーピクニックの愉しみのひとつです。
<霧ヶ峰・八島湿原 2022年3月>
天然記念物の八島湿原もすっかり雪に覆われて、池や浮島がどこにあるかもわかりません。湿原の周辺を渡る木道も雪の下に隠れてしまいます。
(冬期も湿原内に立ち入ることはできませんので、雪に埋もれて見えなくなった夏期のコースを辿って周囲を歩きます)
雪景色を眺めながらの焼きマシュマロ体験も、ツアーの人気メニューです。
<霧ヶ峰と焼きマシュマロ>
スノーシューポーズで記念撮影(^ᴗ^)
また来年のスノーシーズンも、スノーピクニックを開催します。
今年参加を逃した方は、ぜひ来年、ご一緒しましょう!
霧ヶ峰 スノーピクニック (スノーシューor軽アイゼンレンタルあり)
===========
そしていよいよ、待望の2022年 霧ヶ峰グリーンシーズンのツアーの予約受付をはじめました!
今年からはツアータイトルを一新。内容はこれまでと変わりません。
催行期間:4月末のゴールデンウィーク~10月末まで
現在は8月まで予約受付中です。(9月以降の受付は順次公開)
<5月 ゴールデンウィーク頃の霧ヶ峰>富士山や南アルプスの眺め
<5月 ゴールデンウィーク頃の霧ヶ峰>車山の山頂からの眺め
草原の色が緑色にみずみずしく染まるのは、6月下旬から。4月から5月の霧ヶ峰は、それまで静かだった草原にさまざまな鳥たちがやってきて求愛のさえずりをはじめる、恋の季節です。
ここは草原ですから、普段、森や町で聞こえる声とはちょっと違います。草原性の野鳥がたくさん暮らしているのです。
花はまだほんの少ししか咲いていませんが、やわらかいミルキーグリーンに染まった山麓の山々を眺めながら、鳥の歌声に耳をすませる心地よさは、この季節ならでは。
ここだけの話…、実はもう少し季節が進み6月になる頃には、エゾハルゼミというセミが山中に響き渡る大合唱で鳴きはじめるため、そこから一ヶ月近くは野鳥のさえずりが、聞こえにくくなるんです。
そして、やっとエゾハルゼミが静かになって来た頃には、梅雨の長雨がはじまります。
梅雨が終わる頃には、野鳥たちはつがいを見つけて子育てもはじまっている頃なので、春ほどはさえずらなくなってきます。
8月になるとその鳴き声はもっと減っていき、お盆を過ぎると静かになって、あとは秋の気配になり、たくさんの虫の音が聞こえてきます。(それもまたよきかな)
静かな草原で、のびやかに透き通った鳥の歌声をたのしむなら4月~5月なのです!
<5月 ゴールデンウィーク頃の霧ヶ峰・八島湿原>
<5月末頃の霧ヶ峰・八島湿原>
八島湿原では、水辺に近づくとシュレーゲルアオガエルのすずやかな鳴き声が聞こえてきます。(超癒やされます)
そしてそれらの歌声も、さっき名前を挙げたエゾハルゼミが大合唱をはじめる前の5月。厳密には5月から6月前半が、静かに聞くことができる時期です。
5月末頃になると湿原の周辺に育つズミの木に花が咲きはじめ、甘い香りにつつまれます。
春は、冬の間は閉ざされていた何かが、開放されていくよろこびに満ちあふれる季節です。
五感をつかって自然を感じ、自然観察しながら霧ヶ峰や八島湿原でのんびり山さんぽ。
ネイチャーオタクなフィールド・ガイドが、みなさまをお待ちしております。